花を愛でる文化 梅 桜

花を愛でる 梅 桜

 

こう寒いと体も気持ちも
縮こまってしまいますが

屋外で動くこともできず
寒さをじっと耐えながらそれでも
来る春に花をつけるべく準備を
しているのが樹木たちです。

静かに冬の眠りにつきながらも 着々と
春の準備を進めているはずですが
静かすぎて 人間にはほとんどわかりません。

でもやはり外にいるからでしょうか
春の兆しを最初に受け取ることができるのも
樹木たちで がんぱったご褒美ですね。

特に早春の花木として
梅は本当に早くから花をつけます。

日本は南北に長い国土ですから
花が咲き始める時期が
北と南では大きな時間差ができるので
その分楽しみが長く続きます。

寒くなるのは勘弁でも
花の便りを心待ちにする方は
多いのではないでしょうか。
 

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梅も桜も 花はいいですねえ…

寒さを乗り越えないと
春はやって来ないのです。

気象庁では「生物気象観測」
ということをやっているそうです。

基準となる樹木の状態や動物などの
行動を丹念に観察することで
季節の進み具合や気象観測データの
一部として蓄積していくのですね。

人工衛星や観測機器など
科学技術の粋を集めた科学的な
データ収集や観測もさることながら

「身近なものから自然のことを教えてもらう」
そういうことの積み重ねこそが大切だし
それこそが科学の基本なのだなと感じます。

繊細でほんのわずかずつの変化に対して
地道で丹念な観測が行われていると思うと
なんだかとてもほっこりと温かい気分に
なるのはなぜでしょうか。

さて 前述の梅ですが
南の方では今頃から咲き始めるそうです。

南北に長いだけでなく地形が複雑なので
花の咲く時期ひとつとっても
行きつ戻りつしながら進んで
一筋縄ではいかないですね。

毎年少しずつ違うので 平年値
という表現が使われますが
ざっくりとまとめてみると

1月中旬ごろ沖縄地方で咲き始めた梅は
1月の末頃には九州から四国
東海地方の一部 そして関東の
太平洋側でも咲き始めます。

この辺りはスタートダッシュ!
という感じでしょうか。

その後2月の末あたりから中国・近畿地方と
北陸の一部地方で開花して
関東の東北部や東北地方南部の
太平洋側辺りに広がっていきます。

少しペースダウンして3月~4月にかけて
ゆっくりと本州全土で咲いていきます。

そして4月下旬から5月に北海道で開花して
梅の日本縦断が完成します。

 

あらためて書いてみると 結構すごい

およそ5か月もかかるんですね。

おまけに途中から桜に
追いつかれてしまいますし。(笑)

私の住む地域もそうですが
北の地方は梅も桜も
ほぼ同時に咲きますんで。

それだけ寒い時期が長いというか
暖かくなるのに時間がかかるのです。

寒さに強い梅でもなかなか
開花できないのが北国なんですよ。

来る日も来る日も う~寒いっと
うつむき加減に背中を丸めて歩いていて

ふと寒風の中に ほのかな梅の香りが
混ざっているのに気が付いた時
気持ちがふわっと暖かくなって
ちょっぴりうれしくなります。

冒頭で取り上げた梅は
寒さにめっぽう強いですが
同じバラ科だというのに
桜はもっと暖かくならないと咲きません。

早い所でも およそ
1か月くらい差があります。

日本は南北に長くて 気候も
それぞれ亜寒帯から亜熱帯まで

極地と極度の乾燥地帯である
砂漠地帯を除いた およそ
地球に存在するほとんどの気候が
この日本列島にぎゅうううっと
詰め込まれているわけです。

 

何かを愛でる文化 大切にしたい

植物という意味では 世界中に
数えきれないほどありますし

それぞれの地域・気候で
独特のものがたくさんあります。

そこに住みつき文明を築いた人間が
まわりにあるたくさんの植物を見て
何かに使えないかな?
あたりがきっかけでしょうが

植物の花などにどのような
興味を持ったかが その後の花との
関わりを決定づけたのは想像に易いです。

またどのような文明だったかも
ここでは非常に重要な意味を持ちます。

ざっくり言って破壊と殺戮 そして勝者による
再構築が人類の辿ってきた歴史のほとんど全て
と言っても過言ではありません。

ある地域に別の場所から 違う言葉や
文化を持った人間が勝手に移動して来れば
当然軋轢がうまれるでしょうし
下手をすれば殺し合いに発展したでしょう。

あるいは元々そこにいた人たちの
培ってきた文化は否定され 破壊されて
根こそぎ消し去られてしまったかもしれません。

そういう歴史の中でも 植物のつける花を愛で
季節の巡りを植物の生態に感じる
そんな文化を築いてきたのが
私たちのご先祖様たちです。

農耕という文化の世界的な広がりというのも
忘れていはいけない要因の
ひとつにあげられるかもしれませんね。

数行でえらく簡単に表現しちゃいましたが
それぞれが文化といえる形になるまで
時間にすれば数千年はかかっていますから
あまり簡単に考えてはいけませんけど。

 

文化は絶え間のない継続である

ですが破壊してしまうことなく 残し伝える
あるいは共感するという感覚が重要で
これがなければどんなに時間をかけて
築いたことでも 途絶しかねません。

しかも一度途絶えると 復活はかなりの
困難を強いられることになるでしょう。

つまり花を愛でるような文化は
平和で争いなどのない状態が長く続かないと
根付くことが難しい事柄なのです。

たまたま島国だったので 地理的に
外部からの侵入がなかっただけかもしれませんが

梅にしろ桜にしろ その時々の花を
愛で それを伝統にまで昇華させるのは
継承してきた途中の時代も やはり
平和な時を過ごしていないと難しいでしょうね。

花を愛でる文化が定着しそうな
平穏な時代といえば
およそ400年続いた平安時代とか
その少し後に260年続いた
江戸時代くらいでしょうか。

実は日本の場合 戦乱が続いた時代でも
文化の伝承は途絶えることなく続いていたのですが
これは外国と戦火を交えたわけでは
なかったためと思われます。

ともあれ梅も桜もあるいはその他の花木も
草花も 時間の経過を目で見られるというか
移ろいを感じられることとして 生活に
深く根付き多くの人の人生を彩ってきたのです。

花を待ち遠しく思うのは
とても自然なことに思えます。

 
お読みいただきまして ありがとうございました。

 

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