7月23日 七十二候 桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)

桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ) 暦・季節

 
桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)
 
今日は 七十二候の 桐始結花
(きりはじめてはなをむすぶ)を
取り上げてみたいと思います。

もともとは23日ごろのようですが
七十二候はざっくりなところがいいので
そこに甘えちゃうことにします。

「桐」と私たち日本人とはとても
古くからのお付き合いですね。

木として とても成長が早いのだそうです。
そして軽いのに丈夫…でも加工し易い
柔らかさを持っているのです。

一番注目すべきは 木なのに
「水を通しにくい」性質が
あるところでしょうか。

これってとても大切なことですよ、
特に湿度の高い日本では。

そのおかげで箪笥(たんす)の
材料として重宝されてきました。
 

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「桐」は身近で お役立ち品

 
履き物の下駄も桐が使われています。

軽くて柔らかいのに 丈夫で水気を
避けるなんて 木とは思えませんね。

長い時間 木と付き合って来た
日本人だからこそ 木の特性を見極めて
生活に取り入れてきたのでしょう。

そんな「桐」の花は今くらいの
時期に咲くのですねえ。

花の穂を垂直に立てたような形で咲きます。

淡い紫が上品な色合いで 本当に
「家紋」のように花が咲くんですねえ。
思えば ちょっと不思議な形ではありますけれど…。

日本人の生活に深く根ざしているからだと
思いますが「桐」の花と葉は
「家紋」などにも取り入れられていますね。

もっとも最初に「桐」を図案化して
使ったのは中国の方でした。

ただ日本の「桐」と中国の「桐」では
どうやら種類が違うようですが…同じ字を
使ったため 混同してしまったみたいです。

中国で図案化されたのは「青桐」という
らしいですが 皇帝にだけ用いられる象徴で

吉祥の鳥「鳳凰」がとまる
神聖な木とされているそうです。
 
 

神聖視されたことを継承している

豪華絢爛な刺繍や織物で表現される
「皇帝の印」のひとつだったようで

恐らく謁見を許された遣隋使や
遣唐使の面々が そのきらびやかさに
目を点にしたのではないかなと 想像します。

自分たちの国力や皇帝の権威を
見せつけるためにも 彼の国では
「ド派手」な玉座の間や謁見の間を
作ったんだろうと思われますけども…。

きれいだなあ すごいなあ…という感覚を
すぐに自分たちに取り入れる
新し物好きなのは 昔からだったのでしょうねえ。

「桐」や「鳳凰」の意匠を真似っ子して
脈々と伝えてきました。

今でも天皇陛下がお召しになる
御衣(おんぞ)の文様は「桐に鳳凰図」なのです。

権威の象徴でしたから あの豊臣秀吉さんも
この「五七桐花紋」を下賜されたそうな。

そんな経緯もあってこの「五七桐花紋」は
時の「政権担当者の紋章」のような扱いに…

なので日本の内閣総理大臣の紋章として
この「五七桐花紋」が使われています。

私たち庶民だって 普通に目にする機会は多いです、
あまり気にしてないだけで。

例えば「卒業証書」や「表彰状」などにある
鳳凰の図と「家紋」の「五七桐花紋」は
ほぼセットで描かれていますよ。

あとやっぱり花札の「桐」ですよねえ…
やっぱり「鳳凰」とセットです。

権威や吉祥を表すということで
あやかりたいという気持ちとか おめでたいね
よかったねという祝意を表すことに
繋がったのかもしれません。

日本ではすっかり生活の中に溶け込み
なじんでいて あらためて
どうこう考えることもしなくなっていることって
結構多いのではないでしょうか。

ずっと続く ずっと継承し続ける
それが日本文化の礎ですからねえ。
 
 

これまでも そしてこれからも

 
たとえ余所の真似から始まったことでも
取り入れ根付かせる中で

熟成と周知が徹底され 所以から
温存され続けて来るなら
立派に文化の要因に成り得ます。

時間のかかり方そのものが
文化であると思っていますので。

ともあれ「桐」と私たち日本人との
関わりは深く長く切っても切れません。

昔は女の子が生まれると「桐」を植え
その「桐」で嫁入り道具として
「桐の箪笥」を誂えたのだそうです。

これも成長が早い「桐」の特徴を
よく捉えた知恵だと思います。

また「桐」はかなり堅強で
どんな土地にもたくましく
根付く傾向があります。

「桐」の種は特殊な形をしていて
よく風に乗って遠くまで辿り着くそうで
つまり繁殖力も強いんですね。

長い時間「桐」と上手に付き合って来たのは
日本人にとって「桐」の木が
大変「使える木」だったからに他なりません。

木の特徴をよく観察し 上手く活用してきた
「木と紙の文化」は伊達ではない。

そしてもうひとつ大切なことは
木などをただ利用・活用するだけでなく

そこに深い感謝の念を持ち
使った分を植えるなどして

森林の保全に努める そういう行為が
重要な意味を持っていると思うのです。

今年も「桐」の花が咲く時期になりました。
七十二候に入れて しっかりと後世に
残すことに成功しています。
 
お読みいただきまして ありがとうございました。
 

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