「ミロのヴィーナス」はどんな場面を彫刻にしたのだろう?

 
ミロのヴィーナス
 
「ミロのヴィーナス」ってどんな場面を
彫刻にしたんでしょうねえ?

わりと以前から持っていた疑問です。

彫像というのはどんな目的で作られるか…?

それがわかると およそのアウトラインが
見えて来るかもしれませんね。

だいたいその神や人物を象徴するような
話や場面を切り取るものだからです。

それを考えると「ミロのヴィーナス」も…?

「ミロのヴィーナス」には両腕がありません。

長い間土の中に眠っていたからでしょう。

向かって左側の腕は 刃物か何かで
スパッと切られたようにも見えますが
失われていることには違いありません。
 

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「ミロのヴィーナス」の腕が残っていたら?

 
右側の腕は肩からもぎ取られているような
破壊のされ方で 印象としては
かなり自然な感じで壊れています。

私たちが知る「ミロのヴィーナス」は
この姿ですので 腕のある姿を
想像する方が難しいくらいです。

その壊れている方の腕ですが
発見された時は 二の腕が残っていた模様。

残されているスケッチを見ると
肩の高さくらいで ほぼ水平ですね。

この先の手がどんな風だったかで
作品のイメージがかなり変わります。

先にも言いましたが 彫像がその人物などを
象徴する場面を切り取るものだとすれば

「ミロのヴィーナス」は何を持っていたか
あるいはどんな手の造形なら納得できるか
研究者さんたちも考えたことでしょう。

定説として「リンゴ」を持っていたんでしょ?
というのがあります。

身体からかなり離れた位置ですし 
空間ですので 支えのための台座が
あった可能性も考えられますね。

すらりとのびた腕と優雅な様子で台座の
上に伸ばした手には「パリスのリンゴ」を
持っていたのではないか…。
なるほどギリシャ彫刻として いい感じです。

私なんかが妄想を爆発させれば…
台座もいいけど あの神殿に並んでいる

コリントス風の柱に ぶどうのつるとかが
すてきに絡んでいるのも いいかなあと。

当たり前ですが 両腕が残っていれば
完成形なので 彫像の場面も一目瞭然。

手に何を持たせるかも 大切な表現ですね。

現状では 腕はありませんけれど
それがゆえに「ミロのヴィーナス」は
人々を惹きつけて止まないのでしょう。
 
 

「ミロのヴィーナス」の物語はこんな感じ

 
さて「ミロのヴィーナス」が持っていたかも
しれない「リンゴ」のお話はご存知ですか?

私なんか地中海地方 特にギリシャは
オリーブとかできますので
温暖な場所と勝手に思っていました。

でもそんなギリシャ神話に 寒冷地を好む
「リンゴ」が登場したのには ちょっと驚き。

ただですね…この「リンゴ」
実は「黄金製」なんです。

一人だけ結婚式に呼ばれなくてムカついた
「争いの女神エリス」が「黄金のリンゴ」に

「最も美しい女神へ」と書いて
盛り上がる宴へ投げ込んだのです。

すると普段から
「自分こそオリンポス一の美貌」と

思っていた三人の女神が「私のことだ!」と
「リンゴ」を巡って鋭く対立します。

ヘラ アテネ アフロディーテの三人が
どうしても譲らない。

困ったゼウスは自分で決めるのを避け
「トロイアの王子」で「人間」のパリスに
決めさせるのです。

女神たちは王子の前に降臨すると
それぞれに褒美を用意して
自分を選ぶように「迫り」ます。

ヘラは全アジアの支配権を授けると言い
軍神のアテネはあらゆる戦いにおける勝利と
知恵を授けると言いました。

そんな中 パリスさんは
「人間界一の美女を妻にしてやろう」と
約束したアフロディーテに
「リンゴ」を渡します。

ヘラとアテネは プンスコ怒りながら
天へ帰ってしまいました。

その後 パリスは 絶世の美女と誉れも高い
ヘレネを妻に迎えたのでした。

勝利したアフロディーテは
「最も美しい女神」の象徴である「リンゴ」を
手にさぞ満足だったことでしょう。

そんな場面を彫像にしたのでは…という定説は
なるほど うなずけるものですね。

ギリシャ神話はたくさんのお話がありますし
神さんや女神さん 人間とそれぞれに

膨大なエピソードがてんこ盛りで
どんな場面を切り取るかは

彫像を造った芸術家さんのセンスでも
あったと思われます。

「ミロのヴィーナス」が造られた当時は
信仰も生きていたと思われますので

仏師が仏像を彫るように 精魂込めて
作業にあたったかもしれませんね。

それにしてもゼウスはずるいですよ。

三人の女神の誰を選んでも 
後が怖いので避けたんですねえ。

神話では このパリスとヘレネの結婚がモトで
有名な「トロイア戦争」が起こるのです。

だってパリスさんたら 王子さんのくせに
余所の国の王妃でもあるヘレネさんを

夫の留守中に 口説いてソノ気にさせて
連れ出しちゃったりするんだもの。

略奪とも言うけどね。

そう 絶世の美女はすでに人妻だったの。

こんなムチャが実現しちゃうことこそ 
女神の導き(約束)なんですねえ。

そうそう「ヴィーナス」は英語読みで
ギリシャ神話では「アフロディーテ」が
正しいので そのように記述しました。

「ミロのヴィーナス」は
「最も美しい女神」の象徴である「リンゴ」を

持っている場面を切り取ったんじゃないか説
一押しということで…。(笑)
 
お読みいただきまして ありがとうございました。
 

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