「大日本史」ってご存知ですか?

 
大日本史
 
突然ですが「大日本史」ってご存知ですか?

これは あの天下の副将軍水戸光圀公が
作り始めた日本の歴史書のタイトルです。

諸国を漫遊したわけではないのは 
みなさんご存知のとおりですが。(笑)

その代わり 諸国に調査員を派遣しては 
資料を集めさせ史書に編纂していくという
大事業を行っていたのです。

本人が出向かなくても 
人手をかけて ものすごく真剣に
取り組んでいたんだなあと感心します。

でも江戸時代 そういう調査って 
どんな風にやっていたのでしょうねえ? 

ちょっとだけ興味があるんですけど。

光圀さんがよその藩主とかにあてて 
よろしくねとか お手紙書いたのかしらん?
 

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地道な作業から やがて学派ができるほどに…

 
そういう風に根回ししてやって 
調査員にはお墨付きをやらないと

よその藩の内情を探る隠密とかと思われて 
捕縛されたりしそうですよね…。

歴史書を編纂したいわけだから 
各藩に残っている文書みたいのを

閲覧させてもらう必要があると思うので 
やっぱり根回しは必要ですわ。

そんな熱心な光圀さんですが 
水戸藩のお世継ぎに決まったので

いっぱいお勉強させられて
いたんでしょうね。

若い頃はけっこうやんちゃも
したらしいのですが 

中国の歴史書を読んで いたく感銘を受け 
僕もこういうの作りたい!
と思ったようです。

水を差すようで悪いけど ここにも
「物語のように整えられた勝者の歴史」に

感銘を受けちゃった純粋な
日本人がいたわけですね。

そりゃあねえ 年代順にあったこと 
起きたことを淡々と書き記しただけの
業務日誌みたいな歴史書よりか 

英雄が登場し 血湧き肉躍る合戦絵巻を
繰り広げた末に 国を平定して
行くんですからねえ。

こういう歴史書の方が読んでて
面白いですよ 夢中にもなりますって。

ただ…実態は 栄えている国がうらやましくて 
絶えず攻め込む隙をうかがっていて

すかさずほころびに食らいつき 
あるいはスパイを送り込んで蚕食させて

武力でもって他国を分捕ることを
繰り返してきただけなんですけどねえ…。

ありゃあ あの大きな古い国の歴史が
たった数行で終わっちゃいましたよ。

ものすごい脚色と糊塗
しまくっているんですが…
まあそれはちょっと置いときましょ。

1657年に江戸は駒込の屋敷内に
「史局」を設けて 中国の歴史書の
日本版を作るべく作業を開始します。

どこをどう切っても 淡々とした
業務日誌歴史になっちまうと思うけどね。

中国の歴史書のようなことが 
日本ではほとんど起こっていなくて 

実はその方がよかったんだと…
気づいてくれたらよかったのですが…ねえ?

やがて水戸藩主となって 公務が
忙しくなっても 編纂作業は続きます。

むしろ拡大されたようで 
光圀さんの周りには
学者が大勢いたんですね。

そうそう光圀さんてかなり好奇心の
旺盛な人だったみたいで 

大きな船を作って 蝦夷地へ探地に
行ったこともあるそうです。

船の建造とか 幕府によって
かなり厳しく制限されていたはずですが

御三家だったから 見なかったことに
してもらえたんでしょうね。

日本に亡命してきた明国人を呼び寄せて 
話を聞いたり ラーメンを教わって

自分て作ってみたり お肉を常食してみたり 
まあいろいろ…。

史局(後には彰考館と改名)を作り 
調査員を派遣し 本の編纂をするとか

船を作るとか けっこう藩の懐を
痛めたことも事実みたいで

そのせいかどうかわかりませんが 
参勤交代はしなかったようですよ。

とにかく膨大な手間と時間をかけて 
日本の歴史書を作ることにまい進します。

そしてついに1699年の暮れ 
本編に当たる部分の清書が完成し

隠居所である西山荘に届けられ 
光圀公もたいへん喜んだそうです。

それからおよそ1年後の1701年に
光圀公は亡くなりますが
間に合ってよかったですね。

もちろん当時の幕府にも
「享保本」というバージョンが
献上されています。
 
 

光圀公亡き後も 延々と続いた作業…

 
その後水戸藩としてこの事業を引き継ぎ 
合計で397巻226冊の
堂々たる歴史書を作り上げたのです。

最終的な完成をみたのは1906年
(明治39年)のことで 第10代藩主の
孫にあたる徳川圀順さんの時でした。
ひえええっ\(◎o◎)/

光圀さんが歴史書を作ろう!と思ってから
260年もかかってますがな。

この歴史書編纂を受け継いだことで 
水戸学派と呼ばれる頭脳集団ができました。

先にも言った 中国のような
歴史でなかったことが 今に繋がっていると

この頭脳集団は気付いてくれたのでしょうか 
ちょっと気になります…。

どんなに優秀な調査員が 
どんだけ史料を集めてきても 
どのような視点から編纂しても 

考え方がまるで違う文化の
人間が作ったものですからねえ。

血湧き肉躍る方は 
自分たちの正当性を誇示し 

理由づけのために書いているので
脚色も糊塗もへっちゃらで 
それが普通だし当たり前なんです。

だからね読むと面白いんですよ 
そういう風に書かれているんですから。 

一方日本は起こった出来事の内容も
書き方も地味だし 

書こうとした理由が全く違うので 
量は膨大ですが 似ても煮付かぬ
歴史書になっただろうな…と。

それが事実なので仕方ないですし 
ありのままを残すのが
日本のやり方ですから。

現代の余分な価値観が入らない
歴史書になっていると思われますし 

こんな大変なことをやり遂げてくれて 
ありがたいことだと思っています。 

それにしてもよくやりました 
本当にお疲れ様でした。
 
お読みいただきまして ありがとうございました。
 

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