七十二候 楓蔦黄(もみじつたきばむ)

蔦の窓辺 暦・季節

 
蔦の窓辺
 
今日は七十二候の楓蔦黄
(もみじつたきばむ)にあたります。

気温がずいぶんと下がってきましたから
関東などの平地でも 少しずつ紅葉が
始まる時期になりましたね。

落葉広葉樹はその大ぶりで 大量の葉っぱを
落とすことで厳しい冬を乗り越える
技を身に着けました。

自然の中ではたくさんの葉っぱたちは
毎年降り積もり木々の足元の土を
豊かな土に変えてゆきます。

自分が成長するための土を 自分自身で
作り出すなんて 植物はすごいメカニズムを
手に入れたものですね。

とはいえ これらの紅葉は
老化現象だと言われているそうで
そう考えるとちょっと
悲しい気もするのですが…。
 

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楓蔦黄(もみじつたきばむ)の表現そのままに

 
でも鮮やかでとりどりの色の共演は
最後にもう一花咲かすのさ!と
言っているようにも思えます。

楓(かえで)はもみじとも言われ
美しい赤色に紅葉する代表ですね。

赤く見えるのはアントシアニンという色素だそうで
秋ごろになってから出てくるのだそうです。

アントシアニンの色が初めから
ついている植物もありますね。

赤紫蘇がそれで 葉緑素がほとんどなくて
葉っぱから茎から とても濃い
赤紫色をしています。

はい 私は手が真っ赤になりますので
どうやら酸性体質のようです。

蔦、桜やつつじも きれいな
赤い色に紅葉しますね。

葉緑素とは同居できないのかもしれませんが
伸びてきたばかりの若い葉っぱは
少しだけ赤みがありますよ。

黄色くなる種類は
黄葉(おうよう)ともいわれます。

こちらはカロテノイドという
色素だということです。

銀杏やポプラ、しらかばなども
黄色くなる代表ですね。

ただし銀杏は落葉しますけれど
木の仲間としては針葉樹なんですよ。

同じ針葉樹で黄色くなり
落葉するものにカラマツがあります。

黄色いじゅうたんのように
街路樹が色づくのが待ち遠しいです。

あれは本当にきれいで 黄色という色味は
光をよく反射するせいか そこだけ
輝いているような まぶしさを感じます。

その他にも茶褐色に色づくものもあります。

これらの色素は主にタンニンで
カシワやケヤキなどが褐色になります。

タンニンは味では
渋みの成分でもありますねえ。

褐色というか渋い色合いで
基本枯れ葉色といえばこの色かなあと。

古い言葉では朽ち葉色なんて
言い方もありまして
恐らくはこの色に入るかなと。

たくさんの種類がある木々ですが
こんなにも色にバリエーションが
あるというのも 本当に不思議な感じがします。

自然の山などでは 常緑樹の濃い緑が
アクセントになってさらに紅葉を
引き立ててくれているのですよね。

濃い緑と鮮やかな赤は
「補色対比」といって 非常に目立つ彩りです。

絵の具などで試すと分かりますが
赤と緑を混ぜると灰色になります。

混ぜると灰色になる
色の取り合わせが補色なんですね。

で、補色同士を隣り合わせに配色すると
思いっきり目立ちます。

お互いを打ち消そうとしているので
目がチカチカするのです。

色は遊ぶと面白いので色々やってみて下さい。(笑)
 
 

楓蔦黄(もみじつたきばむ)のは有終の美?

 
様々な色に変化する木々を眺めるのは
本当に心が躍ります。

自分の目で季節の移ろいを
はっきりと確かめられるのですから。

花の時期も紅葉の時期も
一番美しい時はとても短いですよね。

その繰り返しをずっと
昔から見てきた日本人の中には
いつしか 美とは儚いものだという感覚が
刷り込まれてきたのかもしれません。

逆に儚いものの中に 一瞬極限の美が表れる
その瞬間に立ち会いたい…そんな欲求が
春の花を愛で 秋の紅葉を楽しみ

それぞれの風情に季節を見出し
それらが年単位で延々と 繰り返されることを
寿ぐ文化を築いたのかなと。

もう何度もお話しているように
寒冷地ではすでに紅葉の時期は過ぎています。

こちらの紅葉の時期が過ぎなければ
平地での紅葉は始まりませんから。

ここではほぼ木々の「脱皮」が終わり
冬の裸木になりつつあります。

すでに冬の眠りについたと言っても
過言ではないでしょう。

山も色を失い 寂しい景色になりましたが
それはやって来る寒さに耐えるため
また来年の春に新しい芽を出すための
準備期間なのです。

静に力を蓄える時期で アスリートの
体力増強の地道なトレーニングと同じです。

目立たないけれどしっかり積み重ねておかないと
必要な時に力が出ません。

長い時間の経過の中で
身に着けた静かな時間ですが
そんな時間だって木々たちは
おろそかにはしていないと思います。

春の芽吹きの力強さにその証が
はっきりと見て取れる気がします。
 
お読みいただきまして ありがとうございました。
 

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