七十二候 山茶始開(つばきはじめてひらく)

つばきと青空 暦・季節

 
つばきと青空
 
今日は七十二候の山茶始開
(つばきはじめてひらく)です。

こんなに寒くなってから
花を咲かせるなんて…と思ったら あらら

漢字は山茶で ひょっとして
山茶花(さざんか)のことではないですか?

でも読みは「つばき」になってます。(‘;’)

もしかすると あまり厳密に
分けていなかったのかもしれませんね。

どちらもよく似たお花だし
ぱっと見てどちらなのか

はっきりと見分けがつく人の方が
少数派だったりして…?

いずれにしても 咲き始めるのは
山茶花の方が先のようです。

なので季節を迎え 人が花を意識するのも
当然山茶花が先ということですね。
 

スポンサードリンク

 

寒さに耐えて花をつける姿に…

 
山茶花の方が先に花を開き始めるけれど
ツバキよりもいくぶん花が小さ目。

その佇まいが 控えめな感じで
茶席の花としても 燻(いぶ)されたような
渋~い竹の花卉に一輪…そんなイメージです。

花の散り方も 山茶花は
はらはらと花弁を散らすそうなので

生垣などを見て これは…ツバキと
山茶花のどちらだろう?なんて思ったら
花の散り際に注意すると
はっきり見分けがつきそうですね。

常緑樹なので葉を散らすことはありませんし
冬の寂し気な色合いの中 緑を保ち

その中に鮮やかな花をたくさん
咲かせる山茶花。

赤い花色が多くて 生垣など緑と赤に
染めて強烈なインパクトです。

補色対比ですねえ~!

そしてこの赤と緑の組み合わせは
なぜか生命力をイメージさせるのです。

この山茶花の赤ですが
少し青みがかった赤なので
彩度が高くて こぶりの花でも
目立つのではないかと思います。

葉っぱも密生しますし 緑も
濃いというより暗い色ですので。

暗い感じのする緑の中に
彩度が高い鮮やかな赤があれば
いやでも目立ちますわい。

植物の場合 色あいですら
戦略的に選択してきていますよね。

気温が低くなり始める時期は
ライバルも減ってきます。

あえてこの時期に
花をつけるというのも
彼らなりに何か得るものがあって
そういう選択なのだろうと。

山茶花さんの都合なので 私にも
はっきりとはわかりませんけども…。

赤は鮮やかですが 花そのものは
小ぶりで 少し控えめな感じが
優しい印象の山茶花。

存在感が強くて ガシガシと前に
出てくるようなそういう振りではなく

どこか寂しげで少し引いたような
楚々とした佇まいが好まれたのかな。

花にあれこれ感情を重ねるというか
そういう見方そのものが
とても日本らしく思えます。

山茶花などは特に 花をつける
時期が初冬ですから
寒さに耐えて咲く…
その姿が健気に思えたのだと…。

「逆境に耐え 屈せずがんばる」のが
昔から大好きだったんですねえ 日本人は。
 
 

七十二候に加えたのは…

 
山茶を「つばき」と読ませたのは
多くの人に知られた花だったからで

花の時期も咲き方も似ていて
明確な区別がない あるいは
分ける必要がなかったのか…。

ですが 自然の中の山茶花は
寒さに弱いみたいで 自生する北限は
四国や九州だそうですよ。\(◎o◎)/!

園芸品種は寒さに強いそうで 現在では
多くの市町村が自治体の花や木などに
指定していますね。

そうなると 七十二候に加えたり
季語などになっている理由は何なんだろう?

江戸の人々は 「一番乗り」とか「真っ先」が
好きだったから山茶花もきっと好まれたかも…。

江戸の武士さんたちも「つばき」は
嫌がりましたが はらはらと花びらを散らす
山茶花は 好みだったかもしれません。

これは私の私見ですけれど
江戸時代の園芸ブームの時
もしかすると たまたま寒さに強い
山茶花ができちゃったりしたかも。

それで関東でも見かけるとか…?
(う~む…ちょっと苦しいなあ…)

茶席の花に用いられたり
冬の季語として 知られているので
風流人の認知度は高かったはず。

お芝居や小説(貸本)かわら版
浮世絵なども人気がありましたから
情報が広まるという素地はありました。

色々な意味で 一般の人々の素養が
高かったことは間違いないですね。

身の回りにあるものを 観察したり
あれこれと批評をし合ったり
見せ合ったり 時には自慢したり

思ったことを言い合える自由で闊達な
コミュニティを形成していたのです。

共通の認識みたいなものが
芽生えていったのでしょう。

七十二候のように独自の暦を
書き加えることも可能だったと…。

冷たい風が吹き始める頃 緑色の葉っぱの中に
ぽつりぽつりと赤い花をつける山茶花。

控えめな風情ながらも目立つ花を咲かせて
名残を惜しむような散り際に
心惹かれたのでしょう。

冬枯れの中 緑と赤と そこへ
雪の白が加わったら 好き過ぎて
ひきつけを起こしそう。(笑)
 
お読みいただきまして ありがとうございました。
 

スポンサードリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました