七十二候 麦秋至(むぎのときいたる)

麦秋至

 

今日は七十二候の 麦秋至
(むぎのときいたる)を取り上げます。

初夏だけど麦秋…麦の実りの時期ですね。

穂だけでなく全体が黄色に色づいて
風にそよぐ姿は 寒さの中をがんばって
実ったよ…と言っているかのようです。

実際雪をかぶった状態で芽吹きますからね
オドロくべきことですよ。

強くしようと 踏みまくるし。

麦は寒かったり 痛かったりしながら
がんばって成長するんですねえ。

草丈のわりには穂が小さいなあと思う私は
ただの欲張りかもしれませんが。

もしもあの草丈で大きな穂が実ったら
簡単に倒れてしまって 刈り取るというより
拾うことになるでしょうね。

やっぱりあの穂の大きさが適しているんですな。

個人的には麦藁のあの香りが好き。
 

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本当に大昔から人類を支えてきた

麦こそ 人類とともに歩んできた植物です。

あまり肥沃でなくても冷涼な場所でも
頑強に育ってくれる健気な子でしたので
欧州でも栽培が可能でした。

いやもしかしたら そういう種類だったのかも。

麦と人類の付き合いはとても古くて長いので
もとは一つだったかもしれないけれど

時間をかけて 場所にあった麦にしていった
あるいは世界に散らばった人類と同じで

それぞれの場所で 独自に環境に適応した
麦の仲間がいたのかもしれない。

人類の食べ物への執念というか本能だけど
安定的に食料を得たいという気持ちが
植物のサイクルを発見することに
つながったんじゃないかな。

ただ眺めていたって そのままではどうしても
食べられないので 最初は直接火に放り込むとか
してみたかもしれないね。

あるいは穂が火のそばに落ちたか こぼれたか…。

硬い殻からはみ出た胚乳は香ばしく焼けて
いい匂いだし 食べてみたら美味しかったと。

もしかしたらおサルさんだったころから
穂になっているものは 食べても大丈夫って
学習していたかもしれませんけど。

私は最初に食べられるものを発見した人って
すごいなと思うんですよ。

だって食べてみないとわからないでしょ?
それを食べちゃうんですから すごい勇気です。

小さなきっかけからどんどんアイディアを出して
工夫をするんですね 美味しく食べるために。

火を使い道具を発明し ついには植物を栽培して
農業を始める…食料を安定的に得るための
システムを構築しちゃったんですね。

もちろんそうなるまでには どえらい時間が
かかっていますが そこから後がたいへん。

あっという間に地球規模で人間が増殖し
文明とやらを築いてしまいました。

 

麦は北西 コメは南東?

実は麦もイネ科の植物です。

なので見た感じはイネと共通点もかなりあります。

麦は穂から外しても そのまま煮炊きして
食べることは あまりしません。

一部 オートミールのような食べ方はありますが。

だいたい粉に挽いて 水と混ぜてこねて焼く
スタイルが圧倒的に多いと思います。

イースト菌で発酵させて ふっくら焼き上げたり
卵や砂糖牛乳などを入れお菓子にしたり

あるいはパスタのように 色々な形にして
茹でて食べたり 麦の粉はとてもお料理上手。

用途によって種類を使い分けて
豊かな食文化に成長させています。

同じイネ科のイネを選択した人々はどうでしょう。

穂から外し 外の殻を取って そのまま煮炊き
することが多いですね。

最近になって米粉が注目されるようになりましたが
わざわざ粉に挽くことはあまりしませんね。
何だか対照的で とても不思議です。

麦秋ということで食べることばかり考えましたが
長い付き合いということは 生活にしっかり
根を張っているということです。

脱穀した後の麦藁も加工して使いましたし
牧草の形で牛さんや羊さんの餌にもなります。

青いうちから風にそよぐ麦の風情は
欧州のなだらかな丘陵地帯を緑に染め上げて
本当にきれいです。

同じ植物が一面に植えられている光景は
それが何であっても きれいに見えますけどね。

そうして麦秋を迎え一面の黄金色が
風の足跡を捉える季節…それが今頃なのですね。

日本だって麦畑がないわけではありません。
さかんに栽培されてきていたはずです。

欧州や米国のような規模の畑ではありませんけど
麦秋がたくさんの喜びをもたらしたに違いありません。

だからこそ七十二候にもあるし 夏の季語にも
取り入れられてきているのです。

 
お読みいただきまして ありがとうございました。

 

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