「5・15事件」は クーデターかテロか

 
5・15事件
 
昭和になって間もなく 
「5・15事件」は起こりました。

社会的な背景として
大恐慌のあおりを受けて 
大手の企業が倒産するなど

国内に社会不安が広がっていた
時期でもあったようです。

また首謀者は海軍の将校らで 1930年の
「ロンドン海軍軍縮条約」を締結した

前の総理若槻禮次郎に
不満を持っていたのだそうです。

この「軍縮条約」って 
当時の大日本帝国にとっては 

そんなのありかよ?って言っちゃうほど
面白くない内容だったらしいのですが。

実はこの頃 日本は世界屈指の
海軍力を持っていたのです。

すると他の列強たちはこまめに
軍縮会議を開くようになりました。

何が目的か わかりますか?
 

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世界が恐れた海洋民族の海軍

 
スポーツの世界でもよく言われるのですが 
日本がその種目などで いい成績を収めると 
ルール改正などが行われるのです。

何が目的か わかりますか?

はっきり言うと いつの時代も
どんな分野でも 日本人が白人さまよりも
前に行くのが許せない、そういうことです。

そのあたりの裏事情 
わかっていたのかなあ?と
疑いたくなる行動ですけども

帝国海軍が そんなのありかよ?と
怒るほど面白くない軍縮条約を
ほいほい結んできちゃったのです。

ところが若槻内閣は1932年 2月の
総選挙で負けちゃったもんだから

勝った方の 犬養さんが
首相に就任してたんですね。

総理が変わったからといって条約を
破棄できるわけじゃありません。

条約というのは国同士の約束であり 
各国の法律よりも上のランクに位置づけられ 
締結した以上守らなくてはならないのです。

もう少し言うと 条約を破る行為は
他国に宣戦布告するのと同じ意味を持ちます。

事件の実行者たちは たぶんそういうことは
考えていなかったでしょうし 

内閣の最高責任者だから 
襲撃のターゲットにされたわけです。

それと犬養さんは陸軍とも関係が悪くなくて 
関東軍のことは 当然
知っていたと思われますが 

見なかったことにしていたようなので 
そのあたりも海軍さんには ぐぬぬ…と
思うところがあったのかもしれません。

この「5・15事件」の場合 
襲撃に使われた武器は
拳銃と手りゅう弾だけでした。

拳銃は軍の持ち物ではなくて 
どうやって手に入れたのか
「民間」から調達したということです。

昭和になって間もなくの頃は「民間」にも 
そんな物騒なものを調達できたのでしょうか 
一つや二つじゃないと思うのですが…。

もちろん首相官邸をはじめ 
いくつかの場所を同時に襲撃する計画で

首都を混乱に陥れて 戒厳令を発令させ
それに乗じて軍事政府をおっ立てて
政府の転覆を狙ったらしいのですが…。

軍事クーデターと呼ぶには規模も計画も
小さくて少しお粗末な感じが否めません。 

計画の規模のわりには
結果を大きく見積もり過ぎていますよね。

襲撃を受けて命を落とされたり 
けがをした方々には申し訳ないけれど

犠牲も少なかったし 
東京を混乱に陥れたとは 
到底言い難い結果になりました。

襲われた犬養さんも重傷を負いながらも
お話ができる状態で 事件直後

「今の若い者をもう一度呼んで来い、
よく話してきかせる」と言ったとか。

ですが深夜になって
息を引き取られたそうです。
 
 

本当は何が目的だったのか…?

 
一国の首相が襲撃されたのだし 
もちろん大騒ぎだったとは思います。

日本国内では戦闘など行われていない平時に 
丸腰の相手に銃弾を撃ち込んだり

建物に向かって手りゅう弾を投げたり 
法治国家にあるまじき行為です。

でも今でも世界のあちらこちらで 
似たようなニュースを聞きますよね。

こういうのは暗殺とか
テロという表現になるでしょう。

犯人たちは後に出頭していますから 
暗殺…でもないような気がしますが。

ただこの犯人たちへの その後の
軍事裁判などでは 比較的軽めの
量刑にとどまり 何とな~く
穏便に済ませた感じが強いです。

私が一番腑に落ちないのは やはり
武器の調達が「民間」だったことです。

海軍さんたちが自分たちで武器弾薬を
こっそり調達して 計画・実行したのなら
「クーデター」といってもいいと思います。

でもなぜ「民間」が武器を調達し 
それに軍人さんがのったのか…わからない。

そもそも日常的に武器を扱う人間なんて 
日本には軍人さんしかいないはずで

立場から考えると 普通は
逆なのではないですかねえ。

政府転覆とまではいかなくても 
何らかの騒ぎを起こしたい奴らがいて 

彼らが状況的に 不満を募らせているで
あろう海軍の若い軍人さんを

引き込んだと見る方が 自然というか 
妥当というか 現実的というか…。

だから軍の裁判とかでも量刑が
軽めになったのではないでしょうかねえ…。

となれば 軍人さんたちをハメたのは
どんな奴らで その目的は何だったのか…
ということになりますけども… 

まあ私でも およその見当がつくので
そういうことだったんでしょうね きっと。

これが後の「2・26事件」の
判例になってしまったらしくて 

「2・26事件」の方の実行犯たちは
比較的軽い量刑で済むと踏んで
実行したフシがあるみたい。

何度も言いますが 武力で分捕ったものは 
大抵武力で分捕られます。

人を傷つけ 物を破壊して その時は
世間の耳目を集めたとしても 結局 

暴力では何の解決にもならないことを
過去の事柄から学ばなくてはなりません。
 
お読みいただきまして ありがとうございました。
 

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