七十二候「鴻雁北」(こうがんかえる)

鴻雁北

 

今日は七十二候の「鴻雁北」
(こうがんかえる)を取り上げます。

「北」と書いて「かえる」と読ませる…
いいですねえ。
北帰行というすてきな言葉もあります。

鉄壁の防寒を誇る羽毛の塊りさんたちでも
極寒の地の寒さは 耐え難いのでしょう。

何もかもが凍り付いてお腹も空きますよね。

どこかに羽を休める場所はないかと
南へ移動中に 日本を見つけたのかな。

干潟とか水辺が多いですからね 日本は。
しかも適度に暖かい。

氷が張り詰めていない水辺があれば
吸い寄せられるように来てしまうでしょう。

渡り鳥の頭の中には正確な方位磁石が
入っているのです。

こういうのも野生の驚異的な能力ですよね。
 

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大きな鳥が集団で…

カモやカリといった大きな鳥が隊列を組んで
あるいは鳴き交わしながら集団で
飛んでいく姿は目立つことがらでしょうね。

越冬していく鳥さんたちの飛来地周辺では
七十二候に入れられるずっと前から
往来があったわけですから。

でも彼らもその時々で微妙に変化する
自然の天候やら温度やらを敏感に察知して
飛来地を変えたり 範囲を広げて
候補地を確保したりしているでしょうね。

空を飛べるので どこへでも行けるし
周囲をとてもよく観察できるでしょうから。

歩き回ることしかできない地上の動物から
見ると 便利で効率がよくていいですね。

安全は最低条件ですが 冬の冷たい水場には
捕食者の姿は そんなに多くないでしょう。

彼らは鳥さんたちほど鉄壁な防寒毛を
持っていないので 濡れたくないのです。

おっと最も危険な動物を忘れていましたよ。

こいつらには集団でいても安心できません。
何しろ「飛び道具」で襲い掛かりますから。

その一方で その危険な動物の同じ仲間が
鳥さんたちに餌をやって保護したり
囲い込んで家畜にしたり…。

敵なのか味方なのか よくわからん行動をとる
とても身勝手なやつらですけど。

んで さらにその仲間の一部が 鳥さんたちの
渡りに季節を感じたりしているのです。

鳥さんたちにはくれぐれも注意してもらいたい。

 

昔からの季節の風物詩

渡り鳥にとって 渡りは私たちがご飯を食べるのと
同じくらい 当たり前のことなんですね。

前年に冬を過ごした場所を正確に覚えていて
飛来し 比較的暖かい場所で冬をやり過ごす。

人間が端で見ていて おおそんな季節に
なったんだなと 自分たちの生活に置き換えて
思っているだけなんです。

そんな風にいうと身も蓋もないですが
自分たちを取り巻く環境を観察して 学習し
生活に生かすのは 知恵のある人間だけですね。

たまーーに賢い動物もいますけれど それでも
自然のリズムからはみ出すほどではない…。

人間は自分たちだけに都合のいい社会を
形成しながら 自然に寄生して生きています。

まあ…それもある意味で生物としての
あり方なのかもしれませんが…。

失くしてしまったものも少なくないので
周りを観察することを覚えたのでしょう。

そして目に見える事象をとらえて 移り行く
季節を感じ取るようにしてきたのです。

季節の風物詩というのは 自分たちが
作り出したことと自然の巡り合わせを重ねて
生活に織り込んできたと言えるでしょう。

すっかり暖かくなって 越冬地から
はるかな北の大地へと飛び立っていく
鳥さんたちを見送りながら

もう〇〇をしなくては…とか
〇〇の準備を始めるか…とか
思っていたかもしれません。

 

候にもあり鳥たちもいるけど

七十二候にもあるし 鴻も雁も季節には
きちんと往来しているけれど…
なんとなく 季節感が薄れていますよね。

実際に飛来地などでなければ 姿を見られない
こともありますけれど 季節感の薄れは
もう少し大きい感覚というか…。

例えば 気温だったり花の便りのずれだったり
季節に外れた天候だったり…。

七十二候に組み込まれた頃とは ちょっと
隔たりが大きくなった印象です。

もちろん鳥さんたちにとっては
そんなことはま~ったく関係ないですね。

彼らには彼らの時計とカレンダーがあります。

人間の考え出したものよりも ずっと自然寄りで
ずっと精緻だろうと想像します。

だから大自然がある限り そのルールに従って
往来を続けることでしょう。

 
お読みいただきまして ありがとうございました。

 

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